道具屋の看板娘、冒険者名は『死神』です。アイテム過剰購入冒険者にムカつきますが、ギルマスにはイヤな奴だと思われたくありません

冒険者たちの顔が皆、強張っていた。

「ダンジョンスタンピードでも起きていない限り……」

と言った余裕の気持ちはとうに消えていた。


ーー24階層ーー。


23階層までのモンスターは難なく倒せる程度だった。

冒険者たちはこのくらいのモンスターなら屁でもない、1人でも倒せると思いながら進んできた。

特に気になった床や壁、天井もなかったし、見慣れない扉もなかった。

このまま、異変など何もないのではないか。

そう思い始めていた。

「ビビってバカみたいだったな」

「『死神』がいなくても、楽勝だぜ」

誰もが思い思いに、口を開く。

「まだ判らないわ。油断しちゃダメよ」

女性の冒険者の声は弱冠、震えていた。

「恐いなら引き返していいんだぞ」

「恐いとは言ってない。でもギルマスが油断禁物だと言ったでしょう?」