道具屋の看板娘、冒険者名は『死神』です。アイテム過剰購入冒険者にムカつきますが、ギルマスにはイヤな奴だと思われたくありません

「ショボいモンスターばかりだな」

冒険者たちはこんなモンスターばかりで、異変なんか本当に起きたのかと思いながらも、どこかチリチリした不安を拭いきれない。

マッピングした地図とダンジョンの壁や床、通路を注意深く見比べ、冒険者同士声を掛け合いながら慎重に進んでいく。

「この辺りだな。妙な扉が出現したってのは」

壁を念入りに押したり叩いたりするが、何もない。

「どれどれ」

数人で触ったり、蹴ったりしてみるが、ただの壁だ。

「何もないじゃないか、なあ?」

槍を持った冒険者が振り向きざまに言い、1歩足を踏み出した。

足下の床がズンと沈みこんだと同時にゴーーッっいう鈍い地鳴り音が聞こえてきた。

「なっ、なんの音だ!!」

冒険者たちは音のする方向を、一斉に見つめた。

「何かくる。壁際にへばりつけ! 急いで」