道具屋の看板娘、冒険者名は『死神』です。アイテム過剰購入冒険者にムカつきますが、ギルマスにはイヤな奴だと思われたくありません

翌日、街は早朝から大騒ぎだった。

ギルドはいつもの3倍以上の冒険者で溢れた。

「死神が45階層のダンジョンボス、ケルベロスを倒したそうだ」

「やられたーーッ。また死神のソロ討伐かよ」

「いったい全体、どんな豪腕の冒険者?」

「仮面をひっぺがして顔を拝んでみたいぜ」

20階、30階、40階、50階層のダンジョンボスがいずれも、悉く黒づくめの冒険者にソロ討伐されていた。

ダンジョンは下層にいくほど数字が大きく、モンスターも強い。

いつからか、黒づくめの冒険者は「死神」と呼ばれるようになっていた。

「Aランク、いや……『死神』はSランク冒険者だよな」

装備が頭の先から足の先まで黒づくめで、髑髏の仮面と云う以外、誰もその正体を知らない神出鬼没の冒険者、それが「死神」だ。

討伐でモンスターが落としたアイテムの数々も半分は、ギルドに還元する冒険者だとも、噂されていた。