道具屋の看板娘、冒険者名は『死神』です。アイテム過剰購入冒険者にムカつきますが、ギルマスにはイヤな奴だと思われたくありません

静かな穏やかな声だった。

「但し、この部屋からの持ち出しは厳禁です。私も確認に協力します」

「了解しました」

「こちらの棚が生産スキルです。赤は加工、黄色は変化、青は強化……それから、こちらが」

ギルドマスターは棚に並べた冒険者登録名簿の区分を次々と説明していく。

「1度には憶えられませんわ。とりあえず、青の強化ファイルから確認していきますわ」

「私はギルドの受付時間が終了してからしか確認できませんが、ラヴィーネさんは?」

「わたくしも道具屋を閉めてからでないと、都合がつきませんわ」

ラヴィーネは気が遠くなるような作業だなと思った。


「あのギルドマスター。鑑定スキルを持った目ぼしい冒険者はご存知ありませんの?」

「鑑定スキル……」

「ええ。毒を鑑定していただいて、毒の強さが判れば毒消しの調合で……その」

ラヴィーネは上手く説明できないもどかしさに唇をキュッと噛んだ。