天使が通った

 私の高校にある話です。

 休み時間の教室は、すごくうるさい。

 クラス中がとにかくしゃべっている。

 だけど延々と続く騒音が、ピタリと止まる瞬間がある。

 誰もがおしゃべりを止めようとしたわけではない。


 教室が水を打ったように、しん、と静まり返る。

 そんな時、誰かが笑いながら言う。

 「天使が通った」

 「まじっ!?今、天使が通ったね!」

 女子も男子も笑いながら、また騒がしく会話に戻っていく。

 だけど、本当は違う。

 みんな怖いんだ。

 天使の姿は誰にも、見えない。

 姿のない天使にお願い事をしたら叶うかな?

 誰かが茶化して、笑い出す前に。