1月22日と言われたら、カレーライスの日のようだ。

 それを、30代になっているシンイチは、Ⅹをしていて知った。

 シンイチは、40代後半になっている書店の店員である。

 いつも、新宿のK書店で、AI店員が出てきている中で、もう、書店の書籍や雑誌は売れず、そして、スマホの電子書籍になっている。ああ、オレは、もう、このまま書店の店員で、給料なんて上がらず、そして、希望もなく、過ぎて行くのかと思った。

 若い時は、作家になりたいが、なれない。

 だが、本が好きで、ここの書店で仕事をしているが、最近では、芸能人も大変なことになっている。そう元ジャニーズのタレントが、テレビ局で、女性社員との間で、事件になったようだった。

 2025年1月になって、騒いでいる。

 今、料理の書棚へ行ったら、カレーライスの本が、あった。

 もう、何年とカレーライスを自分で作っていなかった。シンイチは、東京メトロ丸ノ内線の荻窪に住んでいるが、一人は、ずっと長かった。何年、作っていないか。もう3年は作っていないか。

 そして、もう一人、そこに、書店の店員のアヤカが、いた。

 アヤカは、もう30代になっている。

 いつも、シンイチと仕事をしていて、色んなことに口を挟んでいたアヤカ。やれ、字が汚いだの、男なのに、力がないだの、お腹が出ているだの、余計なことを言っていたが、この間、アヤカは、シンイチに、「あげる」と言って、唐揚げ弁当をおごってもらった。

 シンイチとアヤカは、同じ東京メトロ丸ノ内線で、帰ることもある。

 そして、住んでいる場所なら知っている。

 LINE交換をしたくらいだから。

ーそうだ、今日、アヤカに、カレーライスを食べに行こうと誘おうか

 なんてのんきに考えていた。

 そして、仕事の休み時間に、シンイチは、アヤカのLINEに電話をした。

「もしもし」

 とシンイチは、アヤカに言った。

「ごめん」

 何故か、声がかれている。

「どうしたの?」

「私さぁ」

「うん」

「インフルエンザになったみたいで」

「ええ」

 と思った。

「大事にしろよ」

 とだけ言って、LINEを切った。

 勤務時間中、シンイチは、アヤカのことが気になった。インフルエンザなんてかかったのか。

 そう思っているシンイチだった。

 だけど、病気になっているアヤカの面倒なんてみたくないと思ったが、アヤカは、この間、東武鉄道で、日光まで猿軍団を観に行くとき、弁当を作ってくれて、アヤカは、いつも、シンイチのイラストのデッサンに付き合っていた。拙い売れない小説を書いても、いつも読んでいるのは、アヤカだった。「シンイチ、これ、面白いじゃん」と言った。

 シンイチは、だらしない奴だと自分で思った。

 だけど、アヤカが、インフルエンザで、もし、何かあったら、どうしよう、と思った。

 極端な思考が、出てきた。

 そして、シンイチは、アヤカにLINEを打った。

ー今日、アヤカのハイツへ行く

ーカレーライスを作って持っていく

 とLINEを打った。

 シンイチは、病人に、カレーライスを作って持っていくのが良いのかどうか。正常な判断を持てなかった。

 新宿駅から東京メトロ丸ノ内線に乗って、荻窪まで帰り、スーパーに向かった。そして、ニンジンやらジャガイモやら玉ねぎやら牛肉やらカレル―を買った。

 ハイツへ帰って、1時間で、カレーは、できた。

 カレーライスは、実は、学生時代、一人暮らしをしていて、何とかできた。

 ハイツから、10分歩いたところに、実は、アヤカのハイツがあった。自転車で行かず、歩いて行った。

 そして

 アヤカのハイツのチャイムを鳴らしたら

「残念でした」

 と笑顔で言った。

「演技だったよ」

「分かんなかったぜ」

「だって、私、高校時代、演劇部だったから」

 そう言いながら、しぶしぶ、シンイチは、アヤカのハイツで、二人でカレーライスを食べたようだった。<完>