「呼んだっていうか、待ってた」


近くに置いてあったポットと急須を引き寄せ、お茶を入れながら言う。


「なんじゃ」


「この森にはどんなモノノケがいるのかな、と思って。

私、カナ爺と鈴香さんとカラスたちしか知らないから」


「うちの森はそんなにおらんぞ。

山の向こうから移ってきた物好きばかりじゃ。

もともと人里近くは好まんからの」


「そうなんだ。

そういえばモノノケって動物が基本形なんだね。

それとも、妖怪みたいな感じでいろんな種類がいるの?」


「森に住んでいた生き物で、思いが強すぎたものが最初のモノノケになったらしいからのぅ。

なかなか動物の形からは逃れられんようじゃな」


そう言ってカナ爺はずずっとお茶をすする。