それから秀はすくすくと育っていった。

よく考えれば1年間で20年分成長するのだから、人でいうならば3ヶ月で5歳分。

18歳を成人だとしても2ヶ月で3歳分だ。

彼は本当に良く食べ、よく泣き、よく眠って大きくなっていった。

「鬼の子は近くにいるものに似る」という月浦さんの言葉どおり、2週間を過ぎた頃にはすっかり人の赤ん坊のようになっていた。

ぷくぷくしていて、肌がすべすべで、その笑顔で全ての人間を幸せにするような。

しかも、かなり可愛い赤ん坊だ。

誓って言うが、これは育て親の欲目ではない。

彼はあっという間に寝返りを打つようになり、そこらじゅうをはいずりまわり、ごみを口に入れ、ハイハイしてはニコニコと笑っていた。

正直、メロメロだ。

確かに悪さをすることもあるが、そんなの想定の範囲内だ。

普通に怒ればいいのだ。

ちなみに怒るのは私ばかりで、祖母は私のすることに本当に口を出さない。

全てを私に任せるつもりみたいだ。

祖母は母を育てたことがあるのだから、と頼る気満々だったのだが当てが外れた。

言葉を話すのだって、あっと言う間だった。