「できんのではない。

しないだけじゃ」


初めて知った。

めんどくさいんだろうか。


「なんで……」


「内緒じゃ。

ぷらいばしーの侵害じゃぞ」


聞こうと思ったのにさえぎられた。

年寄りなせいでカタカナがたどたどしい。


「ま、いいけどね」


私は乗り出した体を元に戻す。


「紫乃も帰ってきたことじゃし、わしはもう帰るぞ。

それから、いちいち大声で呼ぶんじゃない。

お前さんの声は森中に響いてうるさいんじゃ」


「どうしてー?

呼ぶ手段がこれしかないんだもん」


「まあ……しょうがないかのう」


やれやれ、と溜息をつきながらカナ爺は帰っていった。


「由香ちゃん、晩御飯にしましょうか」


祖母が私に声をかけた。