モノノケモノ

「呉羽さんにするかな」


そのとき、森側ではなく、うちの屋根の向こう側からバッサバッサとカラスが飛んできた。

私の目の前に降り立つ直前、カラスがぐにゃりと歪んで明星が現れる。

昨日は、スーツを着崩して、いかにもチャラチャラしてる感じだったのに、今日はなんだかめかしこんでいる。

明星は出てくるなり私の頭をパシーンと叩いた。


「いったー!

なにすんのよ!」


「うっせぇ!

俺は今日は非番なんだ!

やっと陽奈ちゃんとデートにこぎつけたのにてめぇのせいで!

この!この!」


今度はグーで殴られた。

痛い。