「……なのに秀を連れて帰ってきたのか」


「うん」


私の顔はまだ青いままなんだろうか。

覚悟を決めた顔は出来ていないのだろうか。


「怖かったよ。

でも、彼を閉じ込めているのはモノノケの常識のせいでしょう。

あそこで引いたら、私が族長さんに会った意味がなくなる。

私は鬼の子を救いたくてあそこに行ったんだ」


カナ爺は溜息をついた。

カナ爺、今日は溜息ばかりだ。


「ま、そういうことだから、カナ爺もなんかあった時は手伝ってよね」


「お前さんそういうところには勇気があるんじゃな」


「まあねー」


「その勇気で学校にもちゃんと行きなさい」


「それを言わないでよねー」


カナ爺と私は顔を見合わせて笑った。