腕の中の秀はいつの間にか目を覚ましていた。

私をじっと見つめて手を伸ばしてくる。


「大丈夫だよ。

手放したりしないからね」


私がにこっと笑いかけると、秀も笑ったように見えた。

表情は、よくわからないのだけれど。


「では行きましょうか」


月浦さんは、私たちが来たのとは違う道に歩き出した。

そちらは、なんとなく、来た側よりも暗いような気がする。

牢屋がある、と聞かされたからだと思うのだけれど。

洞窟の入り口から族長の部屋までには一度も階段などなかったのに、何度も何度も階段を下りた。

その度に闇が濃くなる気がする。

気のせいだと自分に言い聞かせても、やっぱり怖い。

その牢屋にいるのは異種族交配をした親たちや鬼の子だけではなく、本物の罪人もいるのだろうし。