「は、はじめまして。
木本由香と申します。
森村紫乃の孫です」
その人はびくびくしている私に向かってふんっと鼻を鳴らして、執務机に向かって歩きながら、いかにもどうでもよさそうに
「知ってる」
と言った。
なんだなんだ、そっちが聞いたんじゃないのか。
「あの、今日こちらにうかがったのは秀、あ、あの、鈴香さんの息子のことについてお願いしたいことがあったからでして」
「ふん?」
その人は椅子に座り、机に足をどーんと乗せて腕を組んだ。
「その前に一応確認なんですけど、族長さんなんですよね?」
また鼻を鳴らされた。
いかにも馬鹿にした感じが腹立たしい。
「当たり前だろう。
族長じゃないのにこの部屋でこんな態度取ったらぶっ飛ばされるわ」
「ですよね……」
そうかもしれないけど!
名乗ってくれてもいいじゃないか!
木本由香と申します。
森村紫乃の孫です」
その人はびくびくしている私に向かってふんっと鼻を鳴らして、執務机に向かって歩きながら、いかにもどうでもよさそうに
「知ってる」
と言った。
なんだなんだ、そっちが聞いたんじゃないのか。
「あの、今日こちらにうかがったのは秀、あ、あの、鈴香さんの息子のことについてお願いしたいことがあったからでして」
「ふん?」
その人は椅子に座り、机に足をどーんと乗せて腕を組んだ。
「その前に一応確認なんですけど、族長さんなんですよね?」
また鼻を鳴らされた。
いかにも馬鹿にした感じが腹立たしい。
「当たり前だろう。
族長じゃないのにこの部屋でこんな態度取ったらぶっ飛ばされるわ」
「ですよね……」
そうかもしれないけど!
名乗ってくれてもいいじゃないか!

