モノノケモノ

「何か気を付けた方がいい事ってありますか」


「特にありませんよ。

見た目は恐いですけど別に取って食われたりはしませんからね」


そう言った月浦さんは、それでは、と身をひるがえす。


「え、ついてきてくれないんですか?」


「ええ。

伝令は行っていると思いますんで大丈夫ですよ」


いつの間に。

私達を追い越した人はいなかったはずなのに。


「じゃあ……行ってきます」


「頑張れよー」


無責任な明星がヒラヒラと手を振る。

黒斗さんはぷいっと去っていき、呉羽さんはぺこりと頭を下げた。

よし。

頑張ろう。


ノックを2回する。


「失礼します」