そんな広い洞窟を、月浦さんは迷いなく歩いていく。
ここで働いているのだろうカラス族と何度かすれ違ったが、私がいることに対して特に興味はないようで、皆ちらりとこちらを見るだけで通り過ぎていく。
全員月浦さん達とおなじようなスーツを着ていて、髪や目は黒だった。
時々普通のカラスも飛んでいったが、それも変化をしていないカラス族なのかもしれない。
10分ほど歩いた時だろうか、月浦さんが立ち止まった。
目の前には、通路にあった扉とは比べ物にならないほど立派な扉がある。
よく見ると扉のフチには小さなカラスの飛ぶ絵が、真ん中には日本刀が2本交差している絵が彫ってある。
「こちらが族長の部屋です。
あ、族長、というのは先ほど説明した、我々の上司のことです」
なんだか緊張してきた。
今までの人生で話したことのある一番えらい人は、うちの村の村長だと思う。
3軒隣に住んでいて、よく酔っぱらっては水路に落ちている。
威厳のかけらもない爺さんだ。
元気なだけが取り柄だ。
ここで働いているのだろうカラス族と何度かすれ違ったが、私がいることに対して特に興味はないようで、皆ちらりとこちらを見るだけで通り過ぎていく。
全員月浦さん達とおなじようなスーツを着ていて、髪や目は黒だった。
時々普通のカラスも飛んでいったが、それも変化をしていないカラス族なのかもしれない。
10分ほど歩いた時だろうか、月浦さんが立ち止まった。
目の前には、通路にあった扉とは比べ物にならないほど立派な扉がある。
よく見ると扉のフチには小さなカラスの飛ぶ絵が、真ん中には日本刀が2本交差している絵が彫ってある。
「こちらが族長の部屋です。
あ、族長、というのは先ほど説明した、我々の上司のことです」
なんだか緊張してきた。
今までの人生で話したことのある一番えらい人は、うちの村の村長だと思う。
3軒隣に住んでいて、よく酔っぱらっては水路に落ちている。
威厳のかけらもない爺さんだ。
元気なだけが取り柄だ。

