何が起きたのかはわからないが、どうやら月浦さん達は秀を連れて行くのに失敗したらしい。

さっきカナ爺は、カラスが鈴香さんや秀を罪人として裁くと言っていた。

ということは、この人達をうまいこと説得できたら、秀は連れて行かれなくて済んで、鈴香さんも帰してもらえるんだろうか。

だって、子供を生んだから、生まれてきたから罪人なんておかしい。

それがどんな生き物であっても、だ。

それに、生まれた途端に生き方や性格が決まっているっていうのも不自然な話だ。

なにはともあれ、この人達と話をしないことには始まらない。

私は、月浦さん達を引き止めることにした。


「月浦さん、ちょっと休憩していきます?

そこの人ものびてるみたいですし、聞きたいこともあるんです」


月浦さんは少し考え、一瞬嫌そうな顔をしてから「いいでしょう」と言った。