モノノケの足は、速かった。
しがみつくのに精一杯で、顔を上げたら風圧で吹き飛ばされそうだ。
このスピードを選んだ自分を少しだけ恨んだが、止めるわけにもいかない。
私を背負っているというハンデを微塵も感じさせない明星が大きな声で私に話しかけてきた。
「おい!族長は負けたら死ぬってどういう事だよ!」
私も風に負けないように大声を出す。
「族長は、約束が効かないんだよ!
秀がうちに来た日に私族長に会ったでしょ?
その時に、そう言ってた!」
「おいおい!マジかよ!
おい狸!お前知ってたのか!?」
「わしも知らんかった!」
明星の前を走るカナ爺が叫ぶ。
族長は、こうも言っていた。
「自分に約束が効かないことは、他のモノノケ達は知らない」と。
「役にたたねぇ森の長だな!
族長マジでヤベぇじゃんか!」
「だからそう言って」
る、と言おうとした所で、2人が急に止まった。
その目の先にいるのは、木の根本にうつぶせに倒れている月浦さんだった。
いつも清潔なそのスーツは、今やビリビリに引き裂かれ、泥にまみれている。
しがみつくのに精一杯で、顔を上げたら風圧で吹き飛ばされそうだ。
このスピードを選んだ自分を少しだけ恨んだが、止めるわけにもいかない。
私を背負っているというハンデを微塵も感じさせない明星が大きな声で私に話しかけてきた。
「おい!族長は負けたら死ぬってどういう事だよ!」
私も風に負けないように大声を出す。
「族長は、約束が効かないんだよ!
秀がうちに来た日に私族長に会ったでしょ?
その時に、そう言ってた!」
「おいおい!マジかよ!
おい狸!お前知ってたのか!?」
「わしも知らんかった!」
明星の前を走るカナ爺が叫ぶ。
族長は、こうも言っていた。
「自分に約束が効かないことは、他のモノノケ達は知らない」と。
「役にたたねぇ森の長だな!
族長マジでヤベぇじゃんか!」
「だからそう言って」
る、と言おうとした所で、2人が急に止まった。
その目の先にいるのは、木の根本にうつぶせに倒れている月浦さんだった。
いつも清潔なそのスーツは、今やビリビリに引き裂かれ、泥にまみれている。