「じゃあ、ついでだからおんぶしていってよ。

そっちの方が早いでしょ?」


明星は心底イヤそうな顔をして


「はぁ!?俺が?

狸に頼めよ」


と言う。

勝手についてくる癖に偉そうなヤツだ。

私は明星の肩を叩いた。


「いいから。

ほら、早く元の姿に戻って。

カナ爺もね。

たぶん急がないとダメだから」


やれやれ、とため息をついた明星とカナ爺は、一瞬顔を見合わせ、そしてぐにゃりと変化した。


「はい屈んでー。

秀はカナ爺の背中に乗って、超特急で族長さんの所に連れていってね」


森に分け入りかけていた秀は振り返り、変化した明星の背によじ登っている私の姿に一瞬目を見張ってから、森の奥へと駆けだした。

明星とカナ爺が走り出した。