「それって、本当に寿命なの？

そんな良いタイミングで自然に死ぬなんておかしくない？」


「はあ？寿命だよ。

今年の１０月にあいつは死ぬ。

で、その日になったら族長があの檻に確認に行って、遺体を運び出す。

毎回そうだ。

それに、俺たちモノノケは同じモノノケからは殺されないってあの狸の長に聞いたろ？」


そうだった。

でも何か引っかかる。

一生懸命考えている私をよそに、明星は楽しそうに私に話しかけてくる。


「あいつ逃げ切んのかなぁ。

まぁ族長強いし無理かなー。

でも、族長が動けなくなってるとこも見てぇなー。

なぁ、お前知ってるか？

俺ら死に掛けたら触れなくなるんだぜ？

触ろうとしたらバチってはじかれるんだ」


かちっとどこかの回路が繋がり、思い出した。

違う。族長は、違うんだ。