「カナ爺かぁ……」


「おねぇちゃんせいかーい!」


秀がキャッキャッと笑いながら言った。

やっぱり。


「ホントに若いんだね。

カナ爺なんて呼んで本当に悪かったよ。

でも、なんで人の姿してるの?」


カナ爺は呆れたような顔をする。

……本当に、カナ爺と呼ぶのが申し訳なくなってきた。


「もう爺呼ばわりのことはいいんじゃが……しょうがないじゃろ。

おまえさん神社でぶっ倒れて、ゆすっても叩いても起きんのじゃから。

わしがおぶってきてやったんじゃ。

狸のままではちと背が足りんから、人型じゃ」


「あぁなるほど。

どうもお世話かけました」


私はふざけた調子で頭を下げる。

カナ爺も、よいよい、とか殿様みたいに言っている。

そんな気のいい書生顔で殿のふりって、全く似合わない。