春に神社で行うお祭り。

そういえば、ずいぶん昔祖母が何か言っていたような。


「春祭り……」


なんだったっけ。

あまりいいことではないような。

私は、しばらく使っていない頭をフル回転して考えた。

その間も日和子さんはどんどん歩いている。

坂を上り、階段を上り、鳥居が近づく。

息を切らしながら、階段を上りきった時。


ああ、思い出した。

祖母は、こう言っていたのだ。


「春は神社に近づいてはいけない。

春祭りは、モノノケと関われる人の命を欲しているから」