君が星を結ぶから

 来週は近所の神社で夏祭りがあり、鞠子と一緒に行く約束になっている。その夏祭りに備え私は今、ショッピングモールに可愛い浴衣がないか探しに来た。


 しかし、浴衣コーナーですぐに私の足は止まる。そして、胸がぎゅっと締め付けられたかのように苦しくなった。


 なんと、流星先輩と朝陽さんがふたりで、楽しそうにおしゃべりをしながら浴衣を選んでいたのだ。


 きっと、流星先輩の心は朝陽さんに向いている。そう思ってはいたけど、さすがにふたりのデートを目の前で目撃してしまったのは相当きつい。


 私はその場にいられなくてすぐ家に帰った。


 そして、結局浴衣は買えずじまいで迎えたお祭り当日。自分の部屋でお祭りに行く準備をしていると、私のスマホの着信音が鳴る。


 電話に出ると、酷くガラガラ声をした鞠子が申し訳なさそうに言った。


 「ごめん、結。風邪引いたぁ。今日行けそうにない」


 「それはしょうがない。休んで。鞠子は、ちょっと受験勉強がんばりすぎてるんじゃない?」


 鞠子は、偏差値が県内トップクラスの高校を受験しようとしているので、かなりストイックに勉強をしているのだ。


 「昼に夏期講習に行ったあと、毎日、睡眠削って深夜まで勉強やってたから、とうとう限界が来たんだと思う。悔しい。結とお祭り行きたかったよぉ。大好きなりんご飴食べたかったよぉ」


 そんなふうに気落ちしている鞠子が少し可哀想で、「じゃあ、今からりんご飴でも買ってお見舞いに行くよ」と、私が提案した。


 「いいよぉ、そんなことしたら結に悪いし。風邪うつっちゃうかもだし」


 「いつも私の恋愛相談乗ってくれてるお礼だよ。もう体壊すまで勉強無理してがんばっちゃだめだよ」


 「結ぃ、ありがとう。あんたほど、いい子なかなかいないよ。優しくて友達想いだし。結を振った流星先輩は本当に見る目がないわ」


 「はいはい。じゃあ、今からお祭りでりんご飴買って鞠子んち向かうね」


 そう言って通話を切って、私は神社に向かった。