この夢がきみに喰われても

「よう、美結。今日の調子はどうだ?」

「めっっっっちゃ元気! もう病気、治ったんじゃないかっていうぐらい」

「はは、美結がそう言うならそうかもな。このまま退院できる日が待ち遠しいよ」

「私も。退院したら、また二人で遊びに行こうねっ!」

 とても病人とは思えない、溌剌とした声に私は素直に驚いた。
 美結ちゃんは、結叶の言う通り可愛らしく明るい子だった。先月、体調が豹変したものの、奇跡的な回復を見せたそうだ。私の病気と言い、彼女の病気と言い、快方に向かっていてほっとしている。
 私の存在に気づいた彼女が、黒目がちな大きな瞳をぱちくりと動かす。

「その人が、恵夢さん?」

 いきなり名前を呼ばれてぴくんと身体が反応する。びっくりして結叶の顔を見る。彼はニカッと笑みを浮かべた。

「そうだよ。言ってた通り、可愛いだろ」

「うんっ! お兄ちゃんに似合わない美人さんだよ〜。初めまして、羽鳥美結です。あの、恵夢さんの作文を読みました。お兄ちゃんが写真で送ってくれて。私、すっごくいいなって思って、こんなふうに明るく前向きに生きたいって思えたんです。だから、ありがとうございました」

「作文? それって、去年私が書いたやつ……?」

「ああ。美結の良い刺激になるかと思って写真撮って送ったんだ」

「そうだったんだ。なんか恥ずかしいな」

「そんなことないです! 私、あの作文を読んで病気に負けずに、自分も夢を叶えるぞ! って思えたんです」

 小学四年生とは思えないほどしっかりとした受け答えをする美結ちゃん。私は素直に驚きつつ、頬をほっと緩ませた。