この夢がきみに喰われても

「恵夢ー今日これから一緒にアイス食べに行かない?」

 翌日の放課後、部活終わりに里香がそう尋ねてきた。紗枝と朱莉も一緒だ。里香と和解してから、紗枝たちにも事情を話すと、彼女たちも里香と同じように「なんで言ってくれなかったの」と泣きながら怒ってくれた。二人が感じていた私への想いも里香のそれと一緒だったようで、私も方も泣きながら二人に謝った。
 その後、三人は私がバド部に復活できるように、他のメンバーにも事情を話してくれた。顧問の長谷先生も快く私を受け入れてくれて、今に至る。

「ごめん、その、今日はこれからちょっと用事があって」

「あー、もしかして結叶くん? 二人、熱々だね〜!」

「うう、そう言われると恥ずかしいからやめてよ」

「はいはい。もう惚気はお腹いっぱいだからね。楽しんでおいで」

「ありがとう」

 友達からの誘いを断って、恋人になった結叶との約束を優先する。それでも里香たちは気持ちよく送り出してくれる。少し前まで、里香たちとこんなふうに正直な気持ちを打ち明けられる関係になるなんて、思ってもみなかった。

 里香たちに別れを告げた私は、急いで校門へと向かった。
 結叶は部活をしていないから、私がバド部の練習を終えるまで図書館で勉強をして待ってくれていたようだ。期末テストが終わったばかりなのに精が出るのはすごい。聞くと、「いつどんな新しい夢ができてもいいように、常に成績は上位をキープしておきたい」ということだった。本当に彼には頭が下がる思いだ。

「今日は付き合わせてごめんな」

「とんでもないよ。こちらこそ、誘ってくれてありがとう」

 私の部活が終わるまで待っていてくれた結叶にお礼を言う。彼は、「じゃあ行こうか」と私の手をさりげなく取って歩き出した。そのまま二人で、最寄駅から電車に乗り込む。
 やってきたのは榊原総合病院。勝手知ったる様子で結叶が受付で名前を告げると、なんなく病棟へと通される。三階の一室である「羽鳥美結」と名札のついた扉を開けると、「お兄ちゃん!」と元気な声が室内に響いた。