この夢がきみに喰われても

 しゅんと肩を落として謝罪する里香からは、悪意を微塵も感じなかった。むしろ、私のことを好きだったからこそ、その気持ちが裏切られて辛かったのだと分かった。確かに里香たちから嫌味を言われてきたことは私の心を深く抉ったけれど、お互い様だと許せるような気がする。

「もう、いいよ。分かったから。里香、私たちまた戻れるかな? 私は戻りたいよ。里香や、紗枝、朱莉とももう一度友達に戻りたい」

「私も、そう思ってたから。恵夢は私が結叶くんのことであんたに嫉妬してるって思ってたかもしれないけど、逆だよ。私、別に結叶くんのことが好きなんじゃない。私は恵夢のことが好きだから——もちろん友達としてだよ。だからこの前、結叶くんとあんたが二人で遊びに行ってたのを知った時、嫉妬したんだ。恵夢は私と遊びに行ってくれないのにって。勘違いさせたのも悪いけど、そういうことだから。だからもちろん友達に戻りたい。それから、部活にも戻っておいでよ。無理のない範囲内で」

 里香の想いが、ダイレクトに胸に響く。里香が結叶ではなく、私を好きだからこそ、ゲームセンターで「裏切り者」と叫んで怒っていたこと。彼女の気持ちがようやく理解できて、胸にぽっかりと空いていた大きな穴が塞がっていく。

「うん……うん、ありがとう。実は昨日、夢欠症に効く治療をしたんだ。まだ治療したばかりであまり実感はないけど、症状も少しずつよくなると思う。だから里香が言うように、もしみんなが嫌じゃなければ、また部活に行ってもいいかな」

「当たり前じゃん。あんたは唯一無二のキャプテンなんだから」

 里香が私に向かって、歯を見せて笑うところを久しぶりに見た。彼女が私に差し出してきた右手をゆっくりと握りしめる。懐かしいその温もりに、泣きそうになった。
 こうして私は里香と友情を取り戻し、新しい日常の始まりへと一歩踏み出したのだった。