***
「水原さん——ううん、里香。聞いて」
治療をした翌日、学校に登校した私は、真っ先に里香の席へと近づいていった。結叶もすでに学校に来ていて、私の行動を陰で見守ってくれていた。
里香は、普段とは違うはっきりとした声で自分の名前を呼ぶ私を見て動揺した様子で目を見開く。他のクラスメイトたちも、突如として自ら積極的に他人に話しかけにいく私を驚きながら見ているような気がした。
「な、なに、恵夢」
里香の声が上擦っている。それでも、「恵夢」と私のことを名前で呼んでくれていることに、今更ながら胸がツンとした。
「私……ずっと水原さんに——いや、里香に話せてなかったことがある」
「……話せてなかったこと?」
「うん。実は私、病気なんだ。中二の秋に“夢欠症”っていう夢が見られなくなる脳の病気を発症して、それで塞ぎ込んじゃった。部活を辞めたのも、この病気と付き合う上で続けるのが難しくなったからで……。だから、里香たちのことが嫌いになったとか、そういう理由じゃなかったの。でも結果的に、キャプテンの私が抜けることで、みんなに苦労を押し付けることになって、ほんっとうにごめんなさいっ!」
ガバッと勢いよく頭を下げる。一際大きな声ではっきりと里香に病気のことや部活を辞めたことを謝る私の姿に、教室中がざわめいた。
肝心の里香は——私が頭を下げている間、何も言葉を発しなかった。息遣いすら聞こえてこない。そっと顔を上げると、弾かれたように私を見つめる彼女の顔がそこにあった。
「なに……それ」
ようやく彼女の口から絞り出された一言に、ダイレクトに傷つく。でも、仕方ない。いきなりこんなことを言われて、意味が分からないよね。突然人格が変わった友人を、里香が簡単に許してくれるはずがないって分かってる。でも——。
「水原さん——ううん、里香。聞いて」
治療をした翌日、学校に登校した私は、真っ先に里香の席へと近づいていった。結叶もすでに学校に来ていて、私の行動を陰で見守ってくれていた。
里香は、普段とは違うはっきりとした声で自分の名前を呼ぶ私を見て動揺した様子で目を見開く。他のクラスメイトたちも、突如として自ら積極的に他人に話しかけにいく私を驚きながら見ているような気がした。
「な、なに、恵夢」
里香の声が上擦っている。それでも、「恵夢」と私のことを名前で呼んでくれていることに、今更ながら胸がツンとした。
「私……ずっと水原さんに——いや、里香に話せてなかったことがある」
「……話せてなかったこと?」
「うん。実は私、病気なんだ。中二の秋に“夢欠症”っていう夢が見られなくなる脳の病気を発症して、それで塞ぎ込んじゃった。部活を辞めたのも、この病気と付き合う上で続けるのが難しくなったからで……。だから、里香たちのことが嫌いになったとか、そういう理由じゃなかったの。でも結果的に、キャプテンの私が抜けることで、みんなに苦労を押し付けることになって、ほんっとうにごめんなさいっ!」
ガバッと勢いよく頭を下げる。一際大きな声ではっきりと里香に病気のことや部活を辞めたことを謝る私の姿に、教室中がざわめいた。
肝心の里香は——私が頭を下げている間、何も言葉を発しなかった。息遣いすら聞こえてこない。そっと顔を上げると、弾かれたように私を見つめる彼女の顔がそこにあった。
「なに……それ」
ようやく彼女の口から絞り出された一言に、ダイレクトに傷つく。でも、仕方ない。いきなりこんなことを言われて、意味が分からないよね。突然人格が変わった友人を、里香が簡単に許してくれるはずがないって分かってる。でも——。



