しばらく安静にしてから、気分転換にと病室の外に出た。
飲み物でも買おうと一階のロビーに降り立つと、見知った人影を見つけてドクンと心臓が跳ねる。
「結叶……?」
予想外の人物の登場に声を震わされる。
彼は自動販売機の前で佇んで、今まさに飲み物を買っているところだった。ガコン、とペットボトルが落ちた音がして、結叶は受け取り口に手を伸ばした。
「恵夢」
振り返って私の存在を認めた彼が目を見開く。
私を病院で見つけたことへの驚きではなく、病院で鉢合わせてしまったことへの衝撃だろう。
「こんなところで会うなんて偶然だね」
里香から、結叶を病院で見かけたと聞いていたので、私の方はそれほど動揺せずに済んだ。でも、どうして彼が平日に学校を休んで病院にいるのか、気になって仕方がない。
——結叶くんって病気なの?
里香の質問がフラッシュバックする。
まさか……いや、そんなはずない。
もし彼が何かの病に冒されているのだとしたら、この間私が夢欠症について打ち明けた時に、彼も同じように打ち明けてくれたのではないか。もちろん、絶対話してもらえるなんて思わないけれど、結叶ならフェアな方を選ぶだろう。だったら、どうして彼は今ここに……?
「……恵夢、ちょっと今時間ある?」
彼は私をまじまじと見つめた後、静かな口調でそう聞いた。反射的に頷く。これから検査の予定もないし、しばらくはゆっくり過ごすように言われている。
私が首を振ったのを見て、彼はロビーに据え置かれている椅子に腰掛けた。私も結叶の隣に座る。
「恵夢、この病院だったんだな。制服ってことは……学校行ってきたのか?」
私が病院にいる経緯を知らない彼は純粋なまなざしで尋ねた。
「うん。ちょっと、途中で気分が悪くなって……それで」
里香と喧嘩して学校から飛び出した後に倒れた、というところまでは話さなかった。余計な心配はかけたくないし、なんだか格好悪い話だし。結叶は「そうか」と心配そうに相槌を打つ。
飲み物でも買おうと一階のロビーに降り立つと、見知った人影を見つけてドクンと心臓が跳ねる。
「結叶……?」
予想外の人物の登場に声を震わされる。
彼は自動販売機の前で佇んで、今まさに飲み物を買っているところだった。ガコン、とペットボトルが落ちた音がして、結叶は受け取り口に手を伸ばした。
「恵夢」
振り返って私の存在を認めた彼が目を見開く。
私を病院で見つけたことへの驚きではなく、病院で鉢合わせてしまったことへの衝撃だろう。
「こんなところで会うなんて偶然だね」
里香から、結叶を病院で見かけたと聞いていたので、私の方はそれほど動揺せずに済んだ。でも、どうして彼が平日に学校を休んで病院にいるのか、気になって仕方がない。
——結叶くんって病気なの?
里香の質問がフラッシュバックする。
まさか……いや、そんなはずない。
もし彼が何かの病に冒されているのだとしたら、この間私が夢欠症について打ち明けた時に、彼も同じように打ち明けてくれたのではないか。もちろん、絶対話してもらえるなんて思わないけれど、結叶ならフェアな方を選ぶだろう。だったら、どうして彼は今ここに……?
「……恵夢、ちょっと今時間ある?」
彼は私をまじまじと見つめた後、静かな口調でそう聞いた。反射的に頷く。これから検査の予定もないし、しばらくはゆっくり過ごすように言われている。
私が首を振ったのを見て、彼はロビーに据え置かれている椅子に腰掛けた。私も結叶の隣に座る。
「恵夢、この病院だったんだな。制服ってことは……学校行ってきたのか?」
私が病院にいる経緯を知らない彼は純粋なまなざしで尋ねた。
「うん。ちょっと、途中で気分が悪くなって……それで」
里香と喧嘩して学校から飛び出した後に倒れた、というところまでは話さなかった。余計な心配はかけたくないし、なんだか格好悪い話だし。結叶は「そうか」と心配そうに相槌を打つ。



