この夢がきみに喰われても

 翌日が土曜日だと気づいたのは、今日最後の六時間目の授業が終わってからだ。紗枝と朱莉が「里香〜部活行こう!」「明日は午前練だってー」と里香を誘いに来てはたと気づく。 
 そうか、今日は金曜日だった。
 明日、明後日は土日だから彼に会うことはできないんだ。
 そう思うと、胸にぽっかりと空洞が空いたような心地がして驚く。
 私はやっぱり、彼に会いたいと思っている。
 たった一日、保健室でちょっとだけ会話をしただけなのに。その前の昼休みなんて、失礼なことまで言ってきた。それなのにどうしてこんなにも彼のことが気になっているんだろう。

(違う。これはただ、人間として気になってるだけ)

 自分の胸に手を当ててじっと考える。
 羽鳥くんは、作文を書いていた時の私と実際の私の性格が想像と違っていたから、一時的に私に興味を持っただけ。あの保健室での会話だって、教室とは別の空間にいたことで、普段は言わないようなことまで話してしまったんだろう。
 月曜日になればまた、彼はやって来ると思う。 
 けれど教室での私の立ち位置はきっとか変わらない。

(変わらないままだよね)

 もう、明るかった自分には戻れないし、こんな私を好いてくれる人はいない。
 卒業まで、私はひとりだ。