科戸side

いつだって俺にかけてくる言葉は大人子ども関係なくいつも尊敬だった。
だから、お世辞にしか聞こえない言葉はもう聞き飽きた。
今考えると、幼稚園生というその歳でこんな素直になれない子どもは俺くらいなんじゃないかと思う。

「しなとくんって何でもできて王子様みたいだね」

「かっこいい」

「もう文字が書けるの?将来有望ね」

そんな言葉たちにいつの日か期待に押しつぶされそうになりながら俺は無感情の笑顔で生きていた。