あの夏、君と最初で最後の恋をした

終業式が終わりホームルームも終わったら後は帰るだけ。

チャイムと同時に席を立ち、楽しそうにはしゃぐクラスメイト。
そんな中、鞄を持ち教室を出ようとする私に少し迷ったように
バイバイ、なんて言ってきたクラスメイト。

そりゃ迷うよね。
あの日からみんな、
私に声をかけるのも躊躇して、いつも同情を含んで見ているんだから。

もっとも、
そんな原因は私にあるけれど。

「……バイバイ」

それだけ何とか口にして教室を後にする。

せっかく声をかけてくれたクラスメイトだ、
少しは笑えていたらいいけれど。

……いや、多分、
笑えていなかったな。

もう、
笑い方も笑顔も、
忘れちゃったから。



上履きから靴に履き替え外に出ると、朝よりも強い日差しが頭に降り注ぐ。

額に滲む汗をそのままに私は家へと歩く。


目に映る風景は昔から対して変わらない。

颯太と一緒に遊んだ公園、
颯太と一緒におつかいしてたスーパー、
颯太と一緒によくいった本屋、雑貨屋、コンビニ。

至る所に颯太の面影がある。

そんな場所が、

ただただ、

ツラい。