あの夏、君と最初で最後の恋をした

ママと一緒に病院へ向かう間、
ママに聞こえるんじゃないかって位にドクドクと大きく早く心臓が動いて、
ずっとずっと痛かった。


大丈夫だよね、
颯太は、大丈夫。

だって、今日も朝一緒に学校にいったよ?
明日からの計画を一緒に立てたんだよ?

毎年一緒にいってる近所の夏祭りにいこうねって。
海にも、プールにも、映画も買い物も、
一緒にいこうねって。

今年もママの田舎にいこうねって。

宿題は計画的にやらなきゃダメだよって言われて、
でもいつも颯太が手伝ってくれるから平気、なんて言って笑う私を、
少し困ったように、だけど柔らかくて暖かないつもの笑顔で颯太は笑ってくれた。


颯太はいつだって私に優しくて。

そして、
絶対に私をひとりにしない。

だって、
約束したから。

昔、私達がまだ小さい頃、
私達はお祭りで親達とはぐれてしまった時があった。

怖くて怖くてただ泣くしか出来ない私の手を颯太はギュッと握ってくれた。

『大丈夫だよ、僕がいるよ。
絶対に友花ちゃんをひとりにしないから』

そう言ってやっぱり少し困ったように、
だけど柔らかくて暖かな笑顔で私を慰めてくれた。

颯太の暖かな手の温もりと、
暖かな笑顔は私を安心させてくれた。

それからは颯太は絶対に私をひとりにしなかった。

パパとママがいない時は絶対一緒にいてくれた。
学校で委員会とか居残りで遅くなる時はいつも待ってくれていて一緒に帰ってくれた。

『約束したからね、
僕は友花をひとりにしないって』

中学生になってもそう言っていつも一緒にいてくれた。

ねえ、颯太。

約束したもんね?

だから、

大丈夫だよね?

颯太は絶対に、

私をひとりにしないよね?


そう、思っていたのに。

運命は私と颯太を引き裂いた__。