あの夏、君と最初で最後の恋をした

颯太の存在を確認するように、
泣きじゃくりながら、
ただただ、縋り付くように颯太を抱きしめた。

颯太は優しく私の背中を撫でてくれる。

……ああ、颯太だ。

この暖かさも、
優しくて大きな手のひらも、
全部颯太だ。


颯太の存在を自分に刻み込むように強く抱きしめ、
ひとしきり泣いた後、
ゆっくりと顔を上げる。

目に映るのは、
優しく笑う颯太の顔。

そんな颯太の顔を見た瞬間、
また涙が溢れてくる。


「ほら、泣かないで」

そう言ってやっぱり優しく涙を拭ってくれる颯太。

私の知っている、
ずっとずっと、私の隣にいてくれた、
大好きな颯太。


夢でもいい。
颯太がいてくれるなら、
私は一生夢を見続ける。

そんな私の思いが分かってるのか、
颯太が優しく口を開く。

「夢じゃないよ」

「…·夢じゃ、ないの?」

「そう、
ほら、ちゃんと暖かいでしょ?」

そう言って私の手をとる颯太。

「……うん、あったかい」

颯太の体温が嬉しい。

「やり残した事があるんだ」

「え……?」

颯太の言葉に私はただ颯太を見るしか出来ない。

そんな私を颯太は真っ直ぐに見て、言った。


「やり残した事、全部やりにきたんだ」



颯太と私の最初で最後の、
一生分の恋が、
はじまる__。