いつしか花開く



———「どう言うつもり?」
やってしまったと気づいた頃には遅すぎた。
付き合って2年目のクリスマス
駅前の大きなクリスマスツリーの前で彼に
平手打ちをしていたのだ。
怒られて当然。
それでも私は謝らなかった。
30分の遅刻をしたのに
「萌奈が早いから〜」
と悪びれもせず私のせいにしてヘラヘラとし、何も言わずに自販機の前で止まり飲み物を買う彼を許せなかったのだ。
ちりつもってやつなんだろうけど、今思うと平手打ちは酷かったと後悔している。

「本当にどう言うつもり?」
「あんただってなんで謝らないの?」
「だから萌奈が来るの早いんだって」
すごい剣幕で怒る彼をきつい目つきで睨む。
目つきで機嫌を損ねたのだろう。
「俺ムカついたから帰るわ」
「あっそ!勝手にしたら?」
2回目のクリスマスを楽しむことなく彼は腹を立てて帰ってしまった。
ムキになって勝手にしたら?なんて言ったけど内心寂しかった。
なんでいつもこうなっちゃうんだろう
涙が止まらない
喧嘩するたびに泣いてばかりで彼をより怒らせてしまう。

もう泣くのも嫌だ。振り回されるのも嫌だ。
「別れよう」
付き合うまで多くの時間を使ったというのに、終わりは一瞬なのがどこかもの寂しかった。
LINEで別れ話なんて自分が一番嫌っていたのに、まさか自分が送るなんて思ってもみなかった。

愛があればなんでもできると考えていた高校一年生。
それは浅はかだった。