「私、ちょっと見回り行ってくるね。快斗はもうちょっとゆっくりしてていいから!」


焦って早口になったものの、出来るだけ平静を装って答えながらカウンターから離れた。

今のはずるい。

昔は、ちゃんど“幼なじみ”として接することが出来てたのに。
最近は、“好き”が抑えきれないくらいに膨らんでいるせいで、まともに接することが出来ない。


初恋泥棒。


快斗のことを一言で表すならば、この言葉で表すのに尽きる。

快斗と私は、親同士が知り合いだったことで、物心つく前からよく一緒にいた。
快斗は整った容姿から、小学生の頃からよくモテていたし、告白もされていた。
もちろん高校生になった今もその人気は顕在で、ファンクラブなんてものもあるらしい。(正式には見守る会みたいになっているらしいけど)
ただ本人は、そんなことに気付いていないようにことごとく無視をしていた。
私も、小学生のときは、快斗に恋愛感情は持っていなかったし、恋愛対象でもなかった。