それからメイジーはガブリエーレの世話をしつつ、ミミの家事を手伝い、島全体の仕事を終えたら網をひたすらに編んでいく。
それと並行して、丸く固く小さいものを探していた。
(核になるものが必要なのよね……そもそもあの噛みつき貝に核を入れることなんてできるのかしら)
真珠を作るために何年かかるかもわからないし、まだまだ実験したいこともたくさんある。
(紙とペンがあったらいいのに……葉を削って書き残すことはできるかしら)
記録をつけてトライアンドエラーを繰り返すしかないのだが、この環境ではそれも難しい。
二日ほどかけて色別に分けられているほどの網を作り上げるが、予備にともう一つ網を作らなければならない。
今日もガブリエーレに食事を運んだ後に、その場に座って網を作っていた。
『おい……』
「…………」
『聞いているのか?』
「…………」
『おい、メイジー!』
「へっ……!?」
名前を呼ばれたメイジーは驚いて肩を跳ねさせた。
キョロキョロと辺りを見回しつつも、ガブリエーレの青い瞳と目が合ったことでハッとする。
どうやら網を作るのに夢中になりすぎてしまったようだ。
彼は葉っぱに置いてある食事に一切手をつけていないではないか。



