「友人なら、前はちゃんといたわ!」
『……前? なら今はいないんだな』
「ぐっ……!」
揚げ足をとられたメイジーは唇を噛んだ。
ガブリエーレはメイジーの前世の記憶があることを知らない。
それに『前』と言ったことで、今友人がいないことがバレてしまった。
『まぁ……これだけ気が強ければ恋人もいないだろう』
「余計なお世話よ、それに婚約者ならいたわ! 一瞬だけだけど……」
『一瞬? それは婚約者といえるのか?』
「それにあなただっていないんでしょう!?」
『生まれてから女に困ったことはない。友人とやらは知らないがな』
「…………」
メイジーは当たり前のように言ったガブリエーレを見て思っていた。
これは見栄でも自慢でもなく真実なのだろう。
この端正な顔立ちと布の隙間から見える逞しい肉体。
ただならぬオーラと自信満々で偉そうな態度。
黙っていても女性の方から寄ってくるはずだ。
メイジーはこれ以上、彼に勝てないと悟る。
黙って食べ物を持って立ち上がり、皆のところに向かうために背を向けた。
『おい……まだ話は終わっていないぞ?』
「みんながお腹を空かせて待ってるの。いつまでもあなたの相手をしている場合じゃないわ」



