『どうしてこうなったのか経緯を話してみろ。今すぐに』
「そんなこと、あなたに関係ないでしょう? それに王女だったって信じていないじゃない!」
『俺が興味を持ってやってるんだ。話せ』
「人の事情にズケズケと……! それにいちいち偉そうだし腹が立つのよ! あなたって絶対に友人はいないタイプね。あと恋人もっ」
『ああ、お前も友人がいないタイプだな。恋人も』
「なっ……! わたくしは友人がっ……恋人だって」
メイジーは王女だが友人が一人もいなかった。
いつもメイジーのそばにいてくれた侍女のリディを思い出す。
彼女は友達ではなく母や姉のような存在だ。
リディはメイジーを必死に守ってくれた。
(リディ……うまく逃げてくれたかしら。わたくしが無力なせいで彼女を守れなかったわ)
メイジーの胸がチクリと痛む。
シールカイズ王国に残してきたリディだけがメイジーの心残りだ。
婚約者のディディエともろくに顔を合わすことなく、ジャシンスにすべて奪われてしまった。
ぼんやりとしか顔を覚えていないのは部屋に引きこもってばかりで人と目を合わせられないからだ。
(メイジーには友人も恋人も……味方もいなかった。けれど前世では恋人はいなかったけど友人には恵まれたわ)
日本にいる時には友人にはいい刺激をもらっていた。
そうでなければ店舗を出すことなど不可能だったろう。
それも憎い相手にすべて奪われてしまったが……。



