(でも……やっぱりそうよね。急に言葉がわかるなんて、なんだか魔法みたい)

魔法と聞いてメイジーはあることを思い出す。
シールカイズよりずっと北にある広大な大陸。
スリーダイト帝国には魔法が当たり前のように使われているらしい。

その帝国を支配している皇帝は人間離れした美しい容姿と、まるで神のように強い力を使うという。
もちろん部屋にメイジーは行ったことはないが、ジャシンスが外交に行った際に大興奮でその話をしていた。
ジャシンスは皇帝を見ただけなのだそうだが、今でも度々名前が出るほどだ。

噂では魔法を使えないシールカイズ王国を見下していると聞いたことがある。
何故、圧倒的な力を持つスリーダイト帝国がシールカイズ王国を手に入れるために動かないのか。
それは今の皇帝がまったくシールカイズ王国に興味がないからだと言われている。
つまり手にしようと思えば一瞬なのだろう。

ジャシンスは父と母に頼んで、妻にしてもらおうと結婚の申し出をしたそうだが返事はこない。
ジャシンスは望みがあると思っていたらしいが魔法も使えず、小国の王女と結婚するメリットがまったくといっていいほど思い浮かばない。
この件でジャシンスは女王となり、皇帝と結婚することを諦めるしかないのだろうが自信がありすぎるのも考えものだ。

(島流しされたわたしには関係ないけど……)