『お、おい……!』

「みんな必死に生きてるのよ? そんなこと言わないで……!」

『わかった! わかったから離れろ』


先ほどは自分から近づいてきたくせに、こちらが近づくのは嫌なのだろうか。
メイジーはゆっくりと体を離す。
しかし食べ物をわけてもらったり、助けてもらったことも思い出してメイジーは素直に頭を下げる。


「申し訳ありません。言いすぎました。それに助けてくれてありがとうございます。食べ物もわけてもらって感謝してますから」

『……!』


メイジーの言葉に頭を掻きながらガブリエーレはため息を吐いた。


『……………変な奴』

「え……?」

『何でもない。お前は……』

「お前じゃなくて、わたしはメイジーですから」

『…………』


不機嫌そうなガブリエーレはこちらに腕を伸ばす。
そして大きな手のひらでメイジーの目元を覆った。


「ちょっと、何……!?」


ガブリエーレの手首を掴んで抵抗しようとした時だった。
メイジーは激しい頭痛に襲わるのと同時に視界が真っ暗になる。


『俺が国に帰るまでの暇つぶしになれ。役に立てよ、メイジー』


頭にガブリエーレの言葉が響く。

(俺が国に帰るまでって……どういうこと?)

メイジーはそのまま意識を失ったのだった。