メイジーは食べていたものを一気に詰め込んでいたせいで頬が膨らんでいる。
なんの意味があるのかわからずに首を傾げていると、ガブリエーレがグッと近づいてきて体を逸らす。
唇が触れそうな距離に顔が近づいたことでメイジーは動きを止める。


『お前、供え物としてここにきたのか?』

「え……あの、はい」

『そうか。なら、お前は俺のものだな』


信じられないような言葉にメイジーは目を見開いた。
暫く戸惑っていたのだが、普通のテンションでこんなことを言うのはおかしいという考えに辿り着く。
もしかして勘違いしているのかもしれないと、メイジーはある選択を思いつく。


「あの……」

『なんだ?』

「そういうこと言うと嫌われますよ?」

『………………』



何故かガブリエーレからじっとりとした視線を向けられているではないか。
食事をさせてもらっといて言い過ぎかとも思ったが、今まで神として崇められていたのなら、こう勘違いしてしまう理由も理解できる。


『俺に……こんなことを言ってくる奴は初めてだ』

「いやだって、よくないかなぁ……って」

『普段ならば、お前などすぐに殺してやるのに……』

「なっ……!?」


その言葉を聞いてメイジーは怯えることなくガブリエーレに掴み掛かるようにして顔を寄せた。
こうして生きるありがたさを強く感じたからこそ『殺す』と口にすることが許せなかったのかもしれない。