メイジーの髪からハラリハラリとカラフルな花が落ちていくではないか。
ガブリエーレが正座するメイジーの前にしゃがみ込んで、髪に飾ってある赤い花を一つ取る。


『生け贄だとよ』

「…………ですよね」


やはりメイジーはガブリエーレに捧げる生け贄だったらしい。
料理にされるわけではないが、死ぬのは変わらない。
メイジーが落ち込みつつ項垂れていると、ガブリエーレのため息が聞こえた。


『はぁ…………めんどくさ』


メイジーはガブリエーレの声にゆっくりと顔を上げる。


「……ごめんなさい」


そのまま地面に額を擦り付けるようにして頭を下げる。
あれだけ偉そうに『役に立つ』と、言っていたのにこの様である。
言い訳すらできずにメイジーは意気消沈していた。


『ふっ……』


何か言われたのかと思ってメイジーが顔を上げると、ガブリエーレは手で唇を押さえている。


『……ははっ』


ガブリエーレは何故か笑っているではないか。
彼の柔らかい表情にメイジーは驚いていた。
そのまま彼から目が離せないでいると、咳払いしながら元の表情に戻る。
二人の間には気不味い沈黙が流れていた。