(この記憶は何? 夢だった宝石バイヤーとして働いていたから…………ううん、違う。わたしは王女。第二王女としてシールカイズ王国で……何言ってるの? 日本に住んでいるのに)

頭が混乱してしまい思わず起き上がって自身の格好を確認する。
先行投資で買ったオーダーメイドのスーツではない。
下を見ると地味な色だがダークブルーの生地は上品なものだとわかる。
ホワイトのレースや生地がアクセントに使われていて美しい。
けれど重たくて腹部の締め付けが苦しいと感じた。

(ドレス……?)

胸下まで伸びるホワイトゴールドの髪。
ウィッグかと思い、引いてみると頭皮から引かれる痛みを感じる。


「これって、わたしの髪よね……黒髪だったはずなのに……この髪色は?」


つまりこれは自分の髪ということになる。
船から投げ出されないようにヘリを掴んで恐る恐る海を覗き込む。
そこに映っていたのはホワイトゴールドの髪にヘーゼルの瞳。
長く伸ばされた前髪をめくると、くりっとした目に小さな唇。
可愛らしい顔に驚いて体を引いた。