『……くくっ』

「笑い事ではありません!」


ベルーガの言葉を聞いたガブリエーレは笑いが止まらなかった。
火の神扱いされたことも、食べ慣れない食事に戸惑ったことも新鮮だったのだろう。


『それでメイジーはどうだった?』

「メイジー様は何をしだすのか予想ができません。目が離せないんです。不思議な魅力を持った女性だと思いました」

『ははっ……』

「私は……彼女が皇帝陛下に相応しくないと思っておりました」


珍しく直情的なベルーガにガブリエーレは笑みを深める。
彼女は周囲を巻き込みながら自分の道を突き進んでいく。


「それは間違いでした。彼女こそ皇帝陛下に相応しい」

「ほぅ……」


どうやら今日でベルーガのメイジーへの印象は変わったようだ。


「ですが彼女を婚約者にするには帝国貴族の反発からは逃れません」

『父上も母上からの許可はもう得ている。帝国貴族のことも何も問題はないはずだ。俺の予想が正しければな』

「……なんと!」


周囲など、どうとでも丸めこめてしまう。
両親はこの話を聞いた時には大喜びだった。
すっかり捻くれたガブリエーレが相手をみつけることは不可能だと思っていたからだろう。