「このままでいいんです! 説得しておいてくださいっ」

「困りますっ! お願いですから離してください」

「嫌です……! 早く帰らないと皇帝陛下が心配するんじゃないですか!?」

「それはこちらの台詞です……からっ!」


島民たちは戸惑っているように見える。
すると森の向こうから見覚えのある光の玉が見えた。

(ま、まさか……!)

メイジーが嫌な予感を感じていると、ガブリエーレとその背後にマオとイディネスが立っているではないか。


『メイジー……何をしている?』

「……見てわかりませんか?」

『芋虫の真似か?』

「違います」


ベルーガがメイジーから手を離して膝をつく。


『珍しいな、ベルーガ』

「……申し訳ございません」

『いや、構わない。こうなることはわかっていた』


意味深な発言にメイジーは眉を寄せる。
そして一瞬で移動したガブリエーレは、メイジーを抱えてしまう。


「なんでよ! 離してくださいっ」

『皆に迷惑をかけるな』

「ぐっ……!」


メイジーは些細な抵抗とばかりにガブリエーレを蹴り飛ばす。
げしげしと蹴っているとベルーガ、マオ、イディネスの顔が引き攣っていく。


『お前といると退屈しないな』

「…………いっ」


仕返しとばかりにガブリエーレに足をつねられたメイジーは悔しさを噛み締める。
抵抗虚しくガブリエーレに帝国に連れ返されるのだった。