「今日を含め、あなたの行動を見ていましたが皇帝陛下に相応しいとは思えません」
「そうですか」
メイジーが平然としているのもまた気に入らないのかもしれない。
だが相応しくないと言われたらそうだろうとしか答えられない。
ここでメイジーは気になったことを問いかける。
「どんな方なら皇帝陛下に相応しいのですか?」
きっとベルーガたちはどんな女性でもこうなりそうだと思っていると……。
「それはもちろん美しくて皇帝陛下が気に入っておそばにいたいと心から思えるような……」
そう言いかけて、ベルーガはピタリと言葉を止めた。
ピンク色の瞳が動揺しているのか揺れ動く。
それを隠すように彼は視線を逸らしてしまった。
(……どうしたのかしら)
彼が何が言いたいのかがわからず、メイジーが言葉を待っているとベルーガは咳払いをしてこちらを向き直る。
「ゴホン……この話はもういいです。あなたもここにいたいなら、ずっといたらどうですか?」
ベルーガの提案にメイジーは目を見開いた。
そう言われたらメイジーの答えは決まっている。
ガブリエーレからメイジーのことをどう聞いているのかは知らないが、帝国に帰りたいなどいうはずもない。
ベルーガはガブリエーレの側近の中で一番、信頼されているような気がした。
もしかしたらガブリエーレを説得できるかもしれない。
(このチャンス、逃せないわね……!)
メイジーは目を輝かせながらベルーガの手を掴む。



