【完結】島流しされた役立たず王女ですがサバイバルしている間に最強皇帝に溺愛されてました!

それを聞いてメイジーの心臓がドキリと跳ねた。
彼は口こそ悪いが、メイジーのことを思い、メイジーのために動いているように思えたからだ。

(そ、そんなわけないわ……! たまたまよ!)

メイジーは考えを振り払うように首を横に振る。
そして貝がある場所に向かうと、網がしっかりと固定されているではないか。
ダダナたちがやってくれたのだろうが、これもガブリエーレのおかげだと思うと複雑な気分だ。

メイジーが網を引っ張り出して、貝の中身を確認しようとした瞬間だった。
いつものように貝がガバリと口を開ける。
ガブリエーレのことばかり考えていたメイジーは貝の口に挟む棒を用意するのを忘れていた。

(また噛まれる……!)

顔に向かって飛んでくる貝を見て、目を閉じたメイジーだったがいつまで経っても鼻に痛みがない。
目の前でボンッと何かが弾ける音が聞こえた。

(いた……くない?)

不思議に思って目を開くと、そこにはベルーガの姿があった。
貝はメイジーの前にポトリと落ちてしまう。
漂う焼けた貝の独特な香り。
ほんのりと磯の匂いがして無性に醤油が恋しくなってしまう。

そして島民たちの視線も貝が集まっている中、こちらに腕を伸ばしているベルーガの姿。
どうやらベルーガがメイジーが鼻を噛む前に貝を魔法で焼いて防いだようだ。


「怪我はありませんか!?」

「ベルーガさん、ありがとうございます」

「あなたが怪我をすれば皇帝陛下はお怒りになるでしょうから」

「そんなことないと思いますけど……」

「いいえ、あなたが思っている以上に影響は大きいのです」