メイジーはガブリエーレが島で暮らしといた間、帝国をあけていてよく許されたなと考えていると、いつの間にか部屋の前に到着する。
ベルーガが扉を開けて部屋の中に入る前、気になる発言をする。
「ここは皇帝陛下しか立ち入れない部屋でした。ですが……あなたは特別な存在なのですね」
「……!」
ベルーガが笑っているはずなのに怒っているように見えた。
彼の言葉には明らかに棘がある。
ガブリエーレの周りにいる人たちにとって、メイジーは間違いなく面白くない存在だろう。
崇拝するガブリエーレが、突然現れた魔法すら使えないメイジーを特別扱いをするのだから当然だろう。
だがメイジーにはその理由がなんとなくわかっていた。
直接、彼にも言われた通りだが、ただの暇つぶしではないだろうか。
(この気まぐれはいつまで続くのかしら……)
メイジーはそう思いつつも、ベルーガと一緒に扉をくぐる。
すると目の前にいるムーとぶつかりそうになってしまった。
「ムー! どうしてここに?」
『メイジー、メイジー! 会いたかった』
ムーは嬉しそうにメイジーに抱きついているが、その少し離れた場所にいるドーやデーは手に持っていた貝をポロリと落としてしまった。
そして頭を地に擦り付けて平伏そうとする二人を止めてから、その理由を問いかける。
なんと三人にはメイジーたちがいきなり現れたように見えたらしい。



