逞しい腕に抱かれながらメイジーは翻弄されていた。
優しいのか厳しいのかわからない彼にメイジーの心は揺さぶられている。
それに流れで帝国で暮らすことになっているが、どうして島に滞在してはダメなのかメイジーは意味がわからないままだ。
何から何まで説明がまったくないため、道を繋ぐと言った意味もここにきてやっと理解したくらいだ。
そのまま扉を潜って、再び帝国へと移動することになる。
しかしメイジーは扉を通り抜けた瞬間にクラリとした眩暈を覚えた。
(なんだかフラフラするわ)
立っていられなかったため、こうして抱えていてくれてよかったと思うくらいだ。
ズキズキと痛む頭。
何かを吸い取られたような初めての感覚に戸惑っていた。
(久しぶりに島に戻れたのに……どうして?)
メイジーが頭を押さえているとガブリエーレは心配するように声を掛ける。
『……大丈夫か?』
「平気……頭が痛いだけですから」
『今日は部屋で休め』
メイジーはガブリエーレの提案に頷いた。
するとガブリエーレが後ろに控えていたベルーガに耳打ちして、何かを話し始めてしまった。
ベルーガとマオは侍女を呼びに行ったそうだ。
(やっぱり……なんかおかしい)
メイジーはなんとか意識を保っていたが、次第に抗えないほどの眠気が襲う。



