『メイジーに似合うドレスを二十着ほど仕立てろ』
「は…………?」
メイジーはガブリエーレが何を考えているのかわからずに、顔を歪めながら彼を見ていた。
彼がこんなことを言うなんて何か裏があるに違いない。
こんなふうに手のひらを変えたことが不思議で仕方ないのだ。
一カ月近く一緒に過ごした濃密な時間はメイジーに警鐘を鳴らす。
こちらに腕を伸ばして髪を撫でたガブリエーレを見て心臓がドクンと音を立てた。
『惚れたか?』
「……惚れないです」
『ドレスは嫌いか?』
「嫌いでも好きでもないですけど……一体、何を考えているのですか?」
メイジーの頬に触れたガブリエーレは先ほどとは違って、真剣な表情に見えた。
グッと顔を近づけてきたガブリエーレに驚いてメイジーは身を引いた。
「な、なに……!?」
『この肌が白かったら、もっとドレスが映えただろうな』
「……なっ」
メイジーは言葉が出ずに口ごもっていると、ガブリエーレは胸元に手を当てる。
チリッとした痛みと共にメイジーは体を引いて、反射的に腕を振り上げた。
「何すんのよっ!」
「おい……ここは帝国だぞ?」
「ぐっ……!」



