小説家と毒の果実

「母さんたちから手紙って珍しいな〜」

何も考えずにオリバーは手紙を開けた。しかしその内容に目を通した瞬間、彼の目は大きく見開かれた。口から「は?」と低い声が出る。


ミアが国王陛下を殺害した罪で逮捕された


手紙にはその一文しかなかったものの、オリバーを動揺させるには充分だった。頭がクラクラと揺れ、オリバーはその場にしゃがみ込む。

(ミアが国王陛下を殺害?どういうこと?)

疑問と混乱で頭の中がいっぱいになる。そんなオリバーの手を、「にゃあ」と小さく鳴きながらアダムがペロリと舐めた。ザラリとしたアダムの舌の感触に、オリバーの心は次第に落ち着いていく。

「そうだよね。現場を調べなきゃわかんないよね」

オリバーは立ち上がり、出掛ける支度を始めた。前に出掛けたのはいつだったかなと考えながらクローゼットを開ける。そして、猫耳がついた大きな帽子とローブを取り出して身に付ける。

「アダム。ちょっと行ってくるね」